「太陽の帝国」→「バッドマン」

かねてから見たいと思い続けていた「太陽の帝国」という映画をようやくDVDで見た。何故見たかったかと言うと、クリスチャン・ベールが子役として注目を浴びた大作という評判を聞いていたからである。

私が初めてクリスチャン・ベールという英国俳優を認識したのはウィノナ・ライダー目的で見た「若草物語」であった。当時のウィノナはまだキラキラの注目若手女優だったワケであって。そりゃ気ィ強そうで生意気そうな表情がかわいかったんである。最近じゃ精神的に不安定になって万引き騒動引き起こしたとかツライ話題でしか話を聞かんが。ってまあウィノナの話はいい。
その「若草物語」で美形・ローリー役として登場していたクリスチャンの存在感が気になり、以降「ベルベット・ゴールドマイン」や「アメリカン・サイコ」「コレリ大尉のマンドリン」「サラマンダー」と彼が出る作品は結構見ている私である。要するに結構好きだってことなんだが。そうとあらばやはり彼の原点となる作品はやはり見ておかねばなるまいで。

映画の感想としてはまあ、色々思ったことはあったが、中でも印象に残っているのは陽が落ちてしまう直前の、深く赤い夕日の中に浮かぶ黒いゼロ戦の影の前で若い日本兵達(多分特攻隊員)とクリスチャン・ベール扮する英国人少年が敬礼を交わす場面ね。
その少しだけスローに時間が経過するかのような静かな一場面の美しいこと。何故あんなにも美しいかというと、それはおそらく絶望に裏打ちされた美しさだからよね。とにかくこの映画の美しい場面は常に絶望の上に存在していたような気がする。
そんでまたクリスチャン・ベールが天才子役と言われたのも納得の素晴らしさ。ラスト、少年の無邪気な時間を失った後の暗く沈んだ瞳とか忘れられん。

この映画、クリスチャン・ベールの他にはジョン・マルコビッチ、ベン・ステイラー、日本兵役では伊武雅刀、今ある意味熱いガッツ石松なんかも出てたのだが、これらの人達が単にあーまだこの頃は若いなーという印象なのに比べてクリスチャンの場合は子供であるってことが驚きではある。

■「太陽の帝国」(多分13歳くらい)



■「アメリカン・サイコ」(多分26歳くらい)

いやー、やっぱ完成品が古くなるとかいうのとワケが違うよね。建設中の建物と竣工後くらいの差。十数年の時間の大きさをこんなところでも感じさせられると。

で、そのクリスチャン・ベールは次回作のバットマンに決定。
http://www.excite.co.jp/cinema/news/eiga/story/?id=545
どうでもいいが、すごい個性派俳優勢揃いよね。クリスチャン・ベール自身もどっちかと言うと異端っぽいし、ゲイリー・オールドマンとかマイケル・ケインとかとにかく存在の仕方がコユイ。っていうかみんな英国俳優よね。
更にこれって「ラスト・サムライ」のケン・ワタナベこと渡辺謙も出演するという例のアレである。おそらくクリスチャン・ベールの日本における知名度はこれで上がるんじゃなかろうか。もう「太陽の帝国」の子役とか言われたって分からん人多いだろうし。